私が書いた、ある日の一文をご紹介させて頂きます。
*ヤスタカ君の話*
あれはまだうちの長男が二歳ぐらいのことであった。
近所の公園に遊びに行った時のこと、長男が滑り台でヨイショヨイショと遊んでいたところに
あとからたくさんの小学生がやって来て、ダイナミックに遊び始めた。
「あ!赤ちゃんだぁ~!」
一人の男の子がうちの息子に目をとめてしゃがみこんだ。
その声につられて瞬く間にうちの息子は滑り台のてっぺんで
10人近くの小学生に囲まれた。
ヒヤヒヤと、少し距離をおいて見守る私は気が気ではなかった。
(な、何々!?何が起こるの~??)
すると最初に息子の前にしゃがみこんだ彼が、
アカンベとブタっぱなをミックスさせた変顔をしてみせた。
(キャ~~!あんなにたくさんの大きい子に囲まれて、、、うちの子、泣いちゃう~)
↑新米ママの浅はかさ
私がまるでライオンに囲まれた我が子を助けることもできずに
ただ周りをウロウロするガゼルのようにうろたえていると・・・
「キャーハハハ、ぶしゃいく~!」 という息子の声が・・・!
すると変顔をした彼が、
「この赤ちゃんスゲー!不細工って言ったあ!」
と逆にびっくり。
そこから彼等と息子が年齢差を越えて仲良くなるのに時間はいらなかった・・・
みんなが息子を囲んで、安全に気を付けながら激しく楽しく刺激的に遊んでくれた。
私は彼等を少しでも疑念の目で見た自分を恥じた。
それから息子はすっかり彼等と友達に。
道端で会っても「キョーくーん♪」と声をかけてくれる優しくて明るい変顔をしてくれた、
彼はヤスタカ君といった。
ヤスタカ君は当時三年生。
今はもう二十歳を過ぎ、きっと街で会ってもわからないだろうなぁ。
うちに遊びに来たがってたヤスタカ君、
ちゃんと連絡先を聞いて招待すればよかったなぁ。
児童館の主として君臨する現在の息子を見るにつけ、
小さい頃が遠くなればなるはど、やり残したことが脳裏をかすめる・・・☆
いつか再会できるだろうか。
変わらないあのヤスタカ君の笑顔に。。。